つばらつばら~心ゆくままに~ 

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つばらつばら(心ゆくままに、あれこれ)書いています

ニット

ぬくぬく・・・ワタシは知っています。パパの布団は重いし、ワタシの力ではなかなかもぐりこむのが難しい。それに冷たくてとっても駄目。だけど、ママの布団は最高です。羽毛布団は軽くていつでもワタシを歓迎してくれるし、中にもぐっても、上に寝ていても暖かく気持ちがいい。
 それなのに、ママはワタシを外へ連れて行きたがる。12月のときはクビに光る変なものをつけられ、赤い服を着せられていたの。1月になったら背中でちりんちりんと音がするとっても歩きにくいものを着せられたよ。すれ違った近所の次郎くんが「似合わねぇ~」と笑った。でもママはお構いなし。次郎くんの声は聞こえてないみたい。(ちょっと迷惑だな~)と思っているのに「すごくかわいい!もうとってもかわいい」といって、ワタシを人ごみの中に連れて行きたがる。こういうときはだいたいママ一人。パパは「お前迷惑だよなぁ。歩きにくいし見世物になるしなぁ~」と物分りよく、でもやめさせてはくれない。自分は、そういう注目される格好をしているワタシと出かけるのをすごく嫌がるのに。ずるい。ずるい。
 「おい、グラデーション・ニットってなんだ?」
 「え?ほほほほほ・・・」
急にパパがそう聞いたら、ママはそわそわと笑ってごまかした。また衝動買いをネットでしたのだな。きっと。だけどそんな新しい服を買ってどこに行くのかなぁ?それに怪しい人がピンポーンして持ってきた記憶がない。ママはニットが大好きだからね。「凍死寸前の雪だるまみたいなのよね~」自分が着ると何十倍にも体積が膨れ上がるって、この前パパのいないところでワタシに打ち明けていた。みたらたんすの引き出しに、これでもかって言う量のニットがぎゅうぎゅうにはいっていた。でも凍死する雪だるまなんているのだろうか?
 次の日、おばあちゃんが来ることになった。ママは朝から掃除洗濯お花活けと忙しい。ぬくぬく状態から引き離されて、ゲージに入れられた私はいささか不機嫌。ヒーターはあるけど、結構寒い。(寒いよ、寒いよ)やっと一段落したママに訴えた。
「寒いかしらね」
ママに通じた!そうしたらママが箪笥からニットを出して、私に着せてくれた。あったかい!ちくちくしない!お布団にいるようなぬくぬく状態。
「ね?ウール100%のグラデーション・ニット、あったかいでしょ?」
ワタシの服だったのね。こっちも充分幸せだなぁ。これなら次郎くんにも笑われなくてすむね。ママは満足そう。寒いお散歩はしなくていいや。ピンポーン。
「まぁ、ノエルちゃん、ノエルちゃん、いい子にしていた?今日はまた素敵なお洋服着ているね~」
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by Amethyst630 | 2005-01-21 18:14 | ショートストーリィ